AIIB年次総会開催

「AIIB年次総会開催」

2016年7月22日 中川十郎

 

去る6月25~26日、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の年次総会が57か国のメンバー国を

集めて北京で開催された。総会では初のAIIB融資が決定した。今年の融資目標の12億ドル(1200億円)のうち、4件への融資が決定した。

新たに加入を希望する東欧、ラテンアメリカ、アフリカなどの24カ国は2017年早々には加盟を認められる見込みである。そうなるとADB(アジア開発銀行)の67カ国を凌駕する

メンバー81か国の有力国際投資銀行がアジアに誕生することになる。ADB試算によれば2010~20年にアジアではインフラ需要が8兆ドル(800兆円)に上るが、融資可能な資金は世銀を入れても数パ-セントで、これらの膨大な資金需要には応えられないと見られている。その埋め合わせをAIIBが行うことが強く期待されている。

今回、話題になったのは世界から10人をAIIB顧問として招聘するが、その中に日本から鳩山由紀夫元首相の名前が挙がっていることだ。鳩山元首相は東アジア共同体研究所理事長として東アジ共同体構築について精力的に活動しておられ理想的な人選だと思われる。

AIIBの融資目標は16年12億ドル、17年25億ドル、18年35億ドルの予定だ。本年の融資額12億ドルの内、まず5.09億ドルを下記4プロジェクトへの融資を決定した。

①バングラデシュの地方電力拡大計画にAIIB独自の融資で1.65億ドル

②パキスタン・パンジャブ州の40マイルのハイウエー建設にADBと英国国際開発省との協調融資で1億ドル

③タジキスタンの首都ドウシャンベに通じる3マイルの道路混雑解消のための道路建設に欧州復興開発銀行(EBRD)との協調融資で2750万ドル

④インドネシア全国のスラム街の改善に世界銀行との協調融資で2.165億ドル

今回の上記4プロジェクトは政府関係プロジェクトへの融資に集中している。民間部門への融資は皆無で融資リスク管理を徹底していることがうかがえる。バングラデシュへの融資はAIIB単独であるが、他3件はアジア開銀(ADB)、欧州復興開発銀行(EBRD,世界銀行、英国国際開発省など国際金融機関との協調融資で慎重な対応をしている。

現在、総裁のほかに5名の副総裁。39名の行員と20人のコンサルタントで運用している。だが年末には100名体制に増員。さらに世界から有力なリーダー10名を顧問に委嘱する予定で着々と組織を固めつつある。バングラデシュは西アジアで急速に発展しつつあり、パキスタンは海のシルクロードへの出口、インドネシアは海のシルクロードの重要拠点。タジキスタンは陸のシルクロードの主要な結節点である。第一段階の融資案件としては戦略的な配慮をしていることがうかがえる。また財政的に健全、かつ環境面での配慮でフレンドりーで地域住民に受け入れられるプロジェクトを慎重に選定している。

米国と日本は環境保護、人権、反腐敗対策、透明性を問題視し、ブレトンウッズ協定の開発体制に挑戦するものだとして、AIIB不参加の口実にしているが、日本のこのような対応は時代に逆行しており、悔いを千載に残すことになるだろう。