BIS論壇N0.194

「アフリカ開発会議TICAD 6」

2016年8月31日 中川十郎

8月27~28日、ケニヤ・ナイロビで開催された『第6回アフリカ開発会議』は初のアフリカでの開催ということで注目を集めた。

筆者は2003年、2008年、2013年に横浜で開かれたTICAD会議に参加した関係でナイロビ会議にも関心を持ちWATCHした。2002~2003年、コロンビア大学に留学。ビジネススクール日本経済経営研究所客員研究員として大学の興味ある講義を聴講した。1999年にノーベル経済学賞を受賞したロバートマンデル教授、2001年授賞のステイグリッツ教授などの人気ある講義を聴講する得難い機会を得た。ロバート・マンデル教授とはそのあと、お互いにオリンパスの特別委員として4年間一緒に仕事をするご縁があり、国際金融や経済について意見交換する貴重な機会に恵まれた。

コロンビア大学では国連事務総長顧問として活躍し、開発経済の権威でアフリカ研究でも著名なジェフリー・サックス教授の講義も大教室がいっぱいになるほどの人気講座であった。そのサックス教授が2003年の横浜でのアフリカ開発会議で講演するというので参加した。これが、筆者がTICADに興味を持ち始めた動機である。

アフリカは現在の人口10億人が35年後の2050年には25億人から30億人に増加するとのことだ。鉱物資源も豊富で地球上に残された「最後の巨大市場」として脚光を浴びている。日本人駐在8000人に対して中国人は1000社、100万人が在住。中国の存在感が抜きん出ている。ヒラリー・クリントンの元参謀として世界80万キロを行脚した未来学者アレックス・ロスは近著『未来化する社会』でグローバル化とイノベーションの波に乗った中国とインドが成功したように、爆発的に増える人口と強力な才能基盤を持つアフリカ諸国は未来の産業を足掛かりに一気に発展するかも知れない。アフリカ大陸では携帯電話の契約数が6億5000万台を超え、ヨーロッパやアメリカよりも多い。アフリカは産業化時代の経済をそっくり飛ばし、農業経済から知識ベースの経済へ一気に移ろうとしていると、アフリカの経済発展に楽観的な見方をしている。(上掲書353・356ページ)

ナイロビでは安倍首相立ち会いの下、22の企業・団体がインフラ整備など73件の覚書に調印。参加したアフリカ54カ国首脳がナイロビ宣言でアフリカの経済成長を後押しするために、経済の多角化・産業化、人材育成、保健システム強化などを打ち出した。

安倍首相は今後3年間で官民で総額3兆円(300億ドル)規模を投じる方針を表明。日本が支援するアフリカは産業化した強靭なアフリカだ。さらに発展し大きく変貌することを確信すると発言。1000万人の人材教育計画を発表。アフリカを世界経済の重要なプレイヤーと位置づけて、アフリカで先行する中國への対抗意識をあらわにした。

しかしアフリカ向け投資残高では米国、英国、フランス、中国の600億ドル~400億ドル台に対し日本は100億ドル程度で見劣りする。アフリカでは中国、インドなどが先行している。AIIB, 一帯一路戦略、アフリカなどで中国と張り合うのでなくWin-Win関係で、アジア、中央アジア、アフリカ進出で中国と協力する方策を考究することが肝要ではないか。