BIS論壇 『一帯一路、AIIB, SCO、EEU(ユーラシア経済連合)』 2017年6月30日 中川十郎

『一帯一路、AIIB, SCO、EEU(ユーラシア経済連合)』 2017年6月30日  中川十郎

5月14~15日の「一帯一路」北京での首脳会議のあと、6月8~9日カザフスタンの首都アスタナで上海協力機構(SCO)首脳会議が開催された。この会議の目玉は2001年のSCOの創設以来、初めて西アジアの雄でポストチャイナとして発展著しいインドに加え、パキスタンをフルメンバーとして承認したことだ。これで有力BRICSメンバーで21世紀に最も発展するとみられるユーラシアに位置する中国、ロシア、インドがSCOのメンバーとなる。ユーラシアでの「一帯一路」戦略にも大きな好影響を与えるとみられる。
SCOが公表した成果文書によると、中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」を首脳らは歓迎。5月の一帯一路会議の結果を称賛。これまでの成果を支持する」と高く評価している。ユーラシアでの経済共同体構築に長年努力している中央アジアの有力国・カザフスタンのナザルバエフ大統領は「(インド、パキスタンの加盟は)組織の発展を促し国際的な権威は高まる」と歓迎したという。今後のユーラシアでの中国、ロシア、インド、パキスタンなどの結束と協力がさらに深まるだろう。
中央アジアの有力資源国カザフスタンのナザルバエフ大統領は早くからユーラシア経済共同体、経済連合につき、1994年のモスコー国立大学での講演でユーラシア統合の必要性を力説している。(Nazarbayev、“Leadership Perspective”First Victory House, London, 2015 p263)
6月28日、東京で行われたカザフスタン投資セミナーでもカザフスタン関係者は筆者の質問に対して「一帯一路」計画で中央アジアの中心にあるカザフスタンは物流を中心に主導的役割を果たしつつある。すでに中国のヨーロッパ向け鉄道、道路の運輸で重要な役割を果たしている。ナザルバエフ大統領宿願のユーラシア経済連合(Eurasia Economic Union)は2015年に結成され、ロシア、カザフスタン、ベラルーシ、アルメニア、キルギスの5カ国での経済連携が動き出している。6月の上海協力機構(SCO)首脳会議、9月に中国で開催されるBRICS首脳会議で「一帯一路」計画の具体化がさらに進展するだろう。
一帯一路は経済、運輸のみならず文化、教育、社会開発、環境問題など幅広い野心的なユーラシアの広域経済圏構想故、日本も出遅れないようにぜひこの21世紀の壮大なユーラシア開発計画に参画して欲しいとの要望がカザフスタン側から出された。

安倍政権が、透明性に欠けるとか、Governance(企業統治)や与信上問題があると理屈をつけて参加を逡巡しているAIIB(アジアインフラ投資銀行)は、世界的な米格付け会社ムーデイーズ社から6月29日、自己資本や流動性が厚いことや手堅い運営などが評価され、発足1年半で、世界銀行、アジア開発銀行(ADB)、欧州復興開発銀行(EBRD)など国際開発金融機関と同じAaaと最高の格付けを取得した。安倍政権がAIIBを信用できないと批判している隙に、米国に参加され、後悔し悔いを千載に残す日が近付いているように思える。