BIS論壇 『広域経済圏構想「一帯一路」の現状』2017年8月11日 中川十郎

BIS論壇 『広域経済圏構想「一帯一路」の現状』2017年8月11日 中川十郎

去る7月28日JETRO主催でアフリカ開発銀行関係者が参加のアフリカセミナーがあった。アマゾウ・ハット・アフリカ開銀副総裁やカブール中小企業戦略局長などが参加。アフリカは現在年間350億ドル(3兆9000億円)の食糧輸入をしているが、2020年には食料の輸出国になる。アフリカの域内ビジネスも2020年には現在の15%が50%に拡大する。
エネルギー分野でも日照時間が長く全アフリカで太陽光発電が可能である。2020年までにはアフリカはICT関係のインキュベータセンターになる。エネルギー、健康医療、道路、小プロジェクトなどビジネスチャンスがある。現在のアフリカ全体の人口は10億人だが、2050年になると20億人に増加。ビジネスチャンスがあるのでグローバル企業はアフリカを狙うべきだ。アフリカのビジネスパーソンはニューヨークと同じく、メールでアポが取れる。特にケニヤ、ナイジェリア、モザンビークなどビジネスチャンスがある。BOP(Base of Pyramid)ビジネスの地方でのチャンスの可能性も高い。
アフリカ開銀はJICA, JETROと協力し、リスク保全、パートナーの紹介なども行う。日本企業も将来発展が期待されているアフリカへの進出を急ぐべきだとのことであった。
中国が主導の「一帯一路」「AIIB」など、アフリカ開発との関連についてどう見ているかとの筆者の質問に対し、『「一帯一路」はアジア、中央アジアからヨーロッパへの物流網建設が中心故、アフリカにはそれほどの恩恵はないのではないか』との見方であった。ただし情報収集に東京からの帰途、北京に立ち寄りAIIBを訪問するとのことであった。
しかし8月2日付け日経によれば、中國はアフリカで鉄道整備を加速している。ケニアでは首都ナイロビとカンパラ港を結ぶ鉄道が5月に開通。さらにルアンダ、ウガンダ、ブルンジ、エチオピアに延伸する計画もある。エチオピアでは隣国シブチの港湾を結ぶ鉄道が完成まじかで物流や経済の活性化に期待がかかっている。エチオピアではアデイスアベバとシブチを結ぶ鉄道も間もなく開通する。西アフリカではナイジェリアの首都アブジャとカドウナを結ぶ路線も昨年開通した。アフリカの輸送インフラに中国は2000~2015年に300億ドル程度の融資を実施。鉄道の総工費はケニアで30億ドル。エチオピアで40億ドルで大半が中国の融資である。中国はアフリカの鉄道や港湾など交易路を整備し、独自の経済圏をつくり、中国製品の輸出や製造業の移転先としてアフリカに期待している。中國はこのようにアフリカ各地の鉄道計画などを資金面で後押しし、「一帯一路」構想にアフリカも組み込まれていると報じている。
8月8日にASEANセンター主催で開催されたASEAN50周年記念シンポに出席のERIA(ASEAN、東アジ経済研究所)のNarjoko上級研究員に「一帯一路」に対するASEANの見解を聴取した。同氏はASEANは2025年を目指し、域内の統合とConnectivityにさらに努力中で、まずASEAN統合に注力する。「一帯一路」は中国から中央アジア、ヨーロッパを結節する構想で、ASEANは距離をおいており、まずASEAN共同体の構築に注力したいと「一帯一路」には冷静な見方をしているのが印象的であった。ただしAIIBについてはプロジェクトファイナンスについてケースバイケースで活用するとのことであった。