BIS論壇 『一帯一路近況』 2017年9月30日 中川十郎

BIS論壇 『一帯一路近況』 2017年9月30日  中川十郎

9月27日、中國研究所とシルクロード研究会共催の第2回ユーラシア・アジア動向セミナーが竹橋の毎日ホールで開催され参加した。『一帯一路』に関して汪婉、中國の駐日本大使館・友好交流部参事官が『「一帯一路」政策の展開とアジアインフラ投資銀行(AIIB)』と題して講演された。有益だったので概要を下記報告したい。
2013年9月、習近平・国家主席がカザフスタンのナザルバエフ大学で講演し、「シルクロード経済ベルト」構想を提起。2013年10月、ASEANを歴訪、インドネシアの国会で「21世紀海上シルクロード」構想を提案。
2013年12月、中國経済工作会議で「シルクロード経済ベルト」建設の推進を指示。
構想発表以来4年間で『一帯一路』構想は急速に具体化に向けて動き出している。
『一帯一路』は中国と欧州を結ぶ交易路をシルクロードに沿って中国が構築を目指す経済圏構想である。「一帯」は、中国を起点に中央アジア、ロシアを経由し、欧州に至る「シルクロード経済ベルト」と「一路」は、すなはち、中国沿岸部から南シナ海、インド洋を経て、欧州につながる「21世紀海上シルクロード」からなる。
「一帯一路」は「6廊6路」からなり、それは下記である。
①[新ユーラシアブリッジ]経済回廊 ②中国、モンゴル、ロシア経済回廊 ③中国、中央アジア、西アジア経済回廊 ④中国、パキスタン経済回廊 ⑤中国、インドシナ半島経済回廊 ⑥中国、ミャンマー、バングラデシュ、インド回廊よりなる。
「一帯一路」沿線の総人口は44億人(世界人口の63%)、GDPは21兆ドル(29%)で21世紀に最も発展が予想され、地政学的にも重要なユーラシアの将来を左右するものと思われる。一帯一路は高速鉄道、高速道路、空路、海上交通さらに情報通信でユーラシア各国を連結し、アジア経済の「西方シフト」を目指すものである。
「一帯一路」の目標は ①「一帯一路」構想を通じて、中國は国際協力を促進し、「平和、発展、協力、ウィンウィン関係」を目指す。さらにアジア地域のインフラ建設とコネクティビティを推進し、地域協力の強化、域内各国の共同発展を実現する。中國自体も「一帯一路」構想を通じて、さらなる高水準の改革開放を促す。「一帯一路」の共同体理念は、①責任共同体、②利益共同体、③運命共同体を維持するために、①政治関係の信頼醸成、②経済関係の融合、③包容する文化関係を創出することである。5つの疎通として①政策の意思疎通、②インフラのコネクティビティ、③資金の融通、④貿易流通の拡大 ⑤民心の疎通を目指す。中国と「一帯一路」沿線国との貿易総額はすでに3兆ドルを超え、沿線国への投資は500億ドルを超えている。中国企業は20カ国と56の経済貿易協力区に11億ドルの税収増加と18万人の雇用を創出。中國と欧州を結ぶ貨物物流は2011年3月以来、51の運輸網を整備、4000本を運行。すでに中國28都市と欧州29都市が連結している。
このように「一帯一路」戦略はAIIBの融資もあり、急速に具体化しつつある。日本としても「一帯一路」構想とその融資銀行の「AIIB」に早急に参画することが肝要だと実感した。