BIS論壇 『日印関係と中国』 2017年9月30日 中川十郎

BIS論壇 『日印関係と中国』 2017年9月30日 中川十郎
9月13~15日、安倍首相がインドを訪問し、インド・モデイ首相と面談。これは2006年12月、インドのマン・モハンシン首相が訪日した時、相互に両国の首相が相手国を訪問するとの取り決めをしたことによる。安倍首相の訪印は2007年以来4回目となった。
今回は日印経済協力の象徴である「スズキ」の工場があるグジャラート州のア―メダバードを訪問。また日本が中国と対抗し、総力を結集し、1000億円の円借款で成功したアーメダバード~ムンバイ間の新幹線起工式に参列した。すでにニューデリ~ムンバイ間の貨物高速鉄道プロジェクトは、筆者がかって勤務していたニチメン(現双日)が4000億円で落札。工事が動き出している。筆者が入社当時の1960年代に、ニチメンは印度国鉄電化工事を請け負っていた。その経験と実績も奏功したものと思われる。
今回の日印首脳会談は日印の「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」協定に基づく。同首脳会談では懸案の北朝鮮問題も取り上げられたという。両首脳の主要な合意点は;
①中国を意識した安倍首相の「自由で開かれたインドアジア太平洋戦略」とモデイ首相が注力する『アクト・イースト』(東方戦略)をともに推進する為、『日印アクト・イースト・フォーラム』を創設する。
②中国を意識した『海洋安全保障協力の向上』
③日印によるアフリカへの協力のための「産業回廊と産業ネットワーク」の推進
④原子力平和使用による協力強化。~これには日本では問題視する見方もある。
⑤日本の得意とする「モノづくり」を導入、推進するための「モノづくり学校」の設立。
~これはモデイ首相が唱えている「Make in India」への支援と思われる~
⑥インドでの日本語教育を推進するため、5年間で100の高等教育機関で認証日本語講座を設立。1000人の日本語教師を育成。
⑦ヒンズー教の聖地ベナレスに最先端コンベンション・センターを建設するなど合意。
かねて日印の協力、特にアフリカでの日印協力に関心を抱く中国は、筆者がインドに駐在したことも踏まえ、中国テレビ局で日印問題に関して話しするよう依頼を受けていたが、インタビュウ前日になり、急きょ対談相手のアナウンサーが急病だとし出演が延期になったのは残念であった。
日本の優秀な製造技術を活用し、印度でモノを作り、それをインドと組んでアフリカに輸出することに中国はことのほか神経をとがらせていることがうかがわれる。21世紀の未来の10億人有望市場のアフリカで日印と中国が競合することに関して、中国は日印を競争相手として特に関心を高めているようだ。
アフリカには今日、印僑1000万人が在住、隠然たる力を有している。中國もアフリカに1000社進出、100万人の中国人が働いているが、歴史的にもインドのアフリカへの影響力は中国をしのぐ。その印僑と日本の技術と資本が合体すると中国に大きな影響を与える。
だから中国はアフリカでの日本とインドの「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」に基づく日印協力を展開されることをことのほか気にしているようだ。