BIS論壇 『日米経済関係の近況』 2017年10月1日 中川十郎

BIS論壇 『日米経済関係の近況』 2017年10月1日 中川十郎
さる9月28日、JETRO、米国大使館商務部主催の「変革の時代の米国製造業投資セミナー」が開催された。かって10年ほどJETROの貿易アドバイザーをしていたので、その関係もあり、参加した。
トランプ政権新任のウイリアム・F.ハガテイ大使も参加され、日本との経済関係強化の必要性を力説された。2016年に覚書をかわした、「セレクトUSA」以来、日米双方向の貿易・投資促進に向けて努力している日本は米国の大事なパートナーと認識しているとの発言があった。革新的でダイナミックな日本企業にとって、米国は最適の市場とビジネス環境と資源を有し、有望な市場であると強調された。同大使は20年前に日本にビジネスで3年間駐在され、またテネシー州経済開発庁長官を務められ、在任中テネシー州をFDIによる雇用創出で全米第一の実績を上げられた。同州への投資の65%が日本からで、同大使と日本との結びつきの強さを強調された。
50年目迎えた日本・米国中西部会の日米合同会議が東京で9月に開かれたこともあり、JETRO主催の上記投資セミナーには中西部17州の在日通商代表部からも参加し、日本からの投資を勧誘していた。
トランプ政権は米国が投資、雇用と経済成長を実現できる魅力ある進出市場となるよう、規制緩和や税制改正に向けて取り組んでいる。日本は米国にとって重要なパートナー国である。両国の共通の枠組みや価値観、世界に誇る技術や自然の相乗効果を考えると、多様で均衡的な双方向の投資の恩恵を受ける国は日本と米国以外にない。安倍首相の対日直接投資残高を倍増させる目標を称賛する。米国企業の日本市場への参入・拡大・成長を米国大使館でも奨励し、倍増させたいとの強い決意をのべられた。2016年の製造業の米国への直接投資は1兆5000億ドルで米国は世界最大の投資受け入れ国となっている。最大の対米投資国は英国で総額の16.1%を占める。カナダの12.2%に次いで日本は11・4%で3位。ドイツが10%で4位、アイルランドが7.5%で5位となっている。
日本の対米投資は製造業が33%、卸売業26%、金融(銀行除く)と保険が17%、銀行、情報関連がそれぞれ、6%となっている。業種別には輸送機器50%、化学25%、コンピューター、エレクトロニクス10%、金属製品9%となっており、自動車関連の輸送機器産業への投資が最大である。2016年の米国から日本への輸出額上位5州はカリフォルニア(114億ドル)、テキサス(62億ドル)、ワシントン(56億ドル)、イリノイ(25億ドル)、インジアナ(19億ドル)である。米国から日本へのサービス産業の輸出額上位5州は、カリフォルニア(74億ドル)、ニューヨーク(42億ドル)、テキサス(35億ドル)、フロリダ(30億ドル)、イリノイ、ワシントン(ともに19億ドル)である。2014年の日本企業の雇用者数上位州はカリフォルニア(12万人)、オハイオ(6.3万人)、テキサス(4万8000人)、インジアナ(47000人)イリノイ(41000人)などで主に自動車産業関連の雇用が占める。
21世紀アジアの時代を迎え、今後、ASEAN, 中国、インド、「一帯一路」諸国市場の重要性も増すものと思われ、米国に加え、アジアとの経済関係強化、構築も大切になろう。