膨州市・視察訪問報告書 

四川省膨州市

師 敏 副書記殿                    2007年3月25日

陳 世全 弁公室主任殿

写 関係各位殿

膨州市・視察訪問報告書

                                                 膨州市視察訪問団

                            団長 中川 十郎

                         WTO PSI 貿易紛争処理委員

                          JETRO 貿易アドバイザー

                          日本大学大学院非常勤講師

                        東京経済大学経営学部大学院前教授

2007年3月19日~25日の膨州市視察訪問結果、下記報告いたします。このうち一件でも日中協力プロジェクト(案件)として実現できることを期待します。

  1. 膨州市観光、貿易開発提案;
  2. 膨州市は竜門山、丹景山、龍興寺塔、白鹿上書院、陽平道観などの風光明媚な観光地に恵まれている。とくに今回訪問した銀廠溝は風景が素晴らしく、今後国際観光、保養地として開発することが望ましいと考える。ホームステイ(民宿)型の宿舎は汚水処理などユニットタイプで処理し、電力は太陽光、風力発電, ミ二水力発電なども併用し、景観や環境に留意したものにすべきであろう。

食事は近来『医食同源』で健康志向が世界的に高まっているところより、『医食』

で有名な四川料理のさらなる開発が望まれる。あわせ漢方薬の活用、開発、宣伝、販売にも努力すること。

対策としては本年3月に退職する日本の戦後のベビーブーマー(団塊の世代―55

~60歳)600万人の夫妻にターゲットを絞り、四川省膨州市への誘致方策の考究。

『蜀以来の3000年の歴史にあふれる食と健康と観光の宝庫、四川, 成都、膨州で医食同源の健康エコツアーを体験しよう』『健康四川料理教室ツアー』などを目玉に北京~成都~膨州~昆明などへの回遊ツアーを研究するのも一法と思われる。

  1. 『宝山温泉』の開発、活用とマッサージ、針灸、太極拳など健康四川食を結合、融合した健康ツアーの宣伝を行なうこと。
  2. これと合わせ、日本人が好きなハーフ・ゴルフ場を組み合わせることも一法。
  3. 清水『温泉水』を活用した健康水の開発、宣伝、販売。
  4. 冷水魚の宣伝。(とくにさけ、ます、さめなど)さらにしそ、わさび、にんにく、苦瓜、沢庵、野菜漬け、きのこ、きくらげ、蜂蜜の製造、販売、輸出。
  5. パンダ、牡丹, 蘭、菜の花、梅、桜などをモチーフにした製品、土産品の開発。
  6. 観光地案内のための環境にやさしい電気自動車(ゴルフカート)の活用。
  7. 菜の花を加工したバイオデイーゼルオイルの製造設備の建設。(日本の技術活用)。
  8. 養豚, 養鶏などへの新乳酸菌および創成水の活用。(日本の技術活用)。
  9. 観光振興に関しては、とくに従業員教育について、日本の旅館、ホテルと提携し、研修を強化することが望ましい。とくに日本語、英語、接客サービスの実地研修と膨州市宣伝を併せ、日本の大学、日本大学、立教大学、東洋大学などと提携し、観光学研修留学生の教育に力を注ぐこと。

研修ホテル、旅館は九州の湯布院、霧島、指宿、垂水、関東では熱海、箱根、伊豆、伊東、湯が原など。

  1. 観光者を通じ、膨州市への産業誘致、投資の勧誘に努力すること。

12)環境にやさしい観光産業の確立に努力すること。

以上の具体策として、日本企業、地域との以下の提携を提言する。

  1. 観光業振興のため、既存の膨州市、宝山温泉の環境にやさしい開発を促進する。

そのためには経験豊富な日本の九州大分県の「湯布院」もしくは鹿児島県の「霧島」、

「垂水」「指宿」温泉などと提携する。これらの都市、町とは北海道石狩市、大阪富田市などとのような姉妹都市契約を結び、協力を強化することを勧めたい。

  1. 日本有数のバラ園を有する鹿児島県鹿屋市、もしくは岐阜県岐阜市などと提携し、膨州市の牡丹、蘭の花の販売協力を行なう。
  2. 鹿児島県垂水市、鹿屋市と提携し、温泉水、酢などの販売の研究を行なう。
  3. 日本のメーカーと提携し、温泉水、創成水、乳酸菌の製造販売を行なう。とくに養豚、養鶏、生活飲用水分野。
  4. 菜の花からのバイオデイゼルオイルの抽出プロジェクトを推進し、環境にやさしいデイーゼルオイルの製造協力を行なう。
  5. 「一村、一品」「観光土産品」の開発を日本貿易振興機構(JETRO)の協力を得て行なう。
  6. 西華大学と日本の大学と提携し、留学生の相互交換、貿易、観光振興共同研究を行なう。

(日本大学、桜美林大学、東京経済大学、愛知学院大学など)

  1. JETROの協力を得て、膨州市輸出品の開発、日本からの企業誘致に努力する。
  2. 成都養豚会社と養豚技術、商品開発の相互研究、交流を強化する。
  3. 医薬会社と漢方薬の輸出開拓、日本の医薬会社、医科大学との漢方薬共同開発研究促進。
  1. 各団員報告;

1)松延洋平団員の有機野菜、農産品栽培については今後、日本、欧米、アジアの規制、食の安全情報、とくに農産物の貿易情報の提供が望まれる。

2)中村義幸団員の環境にやさしい放牧養豚についてはとくに自家製飼料の応用、コンピュター制御飼育システムの膨州市への適用研究が望まれる。(詳細については両団員の報告書を参照されたい)                       以上

 

内蒙古砂漠緑化ミッション参加報告書

 団長 中川 十郎

  1.  日中百人委員会(会長・福島啓史郎参議院議員・自民党外交部会長、理事長・柴

田静峯氏)主催の内蒙古砂漠緑化ミッションに同委員会副会長をしていることから、同委員会より団長を委嘱され参加する事となった。

中国と私との関係は1993年9月に中国科学技術情報研究所の招待で、上海、北京で競争情報の講演をして以来14年間で、その後 産,学、官との関係が深まっている。

今回は3月19日から25日にかけ、私が顧問をしている四川省膨州市の貿易・観光

有機農業・養豚開発使節団団長として参加の帰途北京で内蒙古使節団に合流した。

旅が四川省、内蒙古と2週間の山野、砂漠など長期視察になったため、後半は持病の腰痛が悪化し、団員各位にお迷惑をかけることになったことを心からお詫びしたい。

しかしながら、内陸農村部や砂漠訪問にもかかわらず、一人の落伍者も無く、全員無事帰国できたことは幸いであった。

砂漠緑化プロジェクトにつき、中国側と協力基本合意調印にこぎつけられたが、これはひとえに柴田理事長、田野島Verde社長、胡徳平統一戦線部副部長、趙・東達蒙古王集団社長はじめ関係各位のご尽力の賜物で、深甚なる謝意を表したい。

  1.  私はたびたび中国を訪問しているが、これまでは上海、北京、ハルピン、長春、天津、広州などを含む都市部がほとんどであった。今回、はじめて内陸部の四川省膨州市や内蒙古の砂漠、農村地帯を訪問でき、中国の内陸部経済開発の現状を認識できたことは有益であった。これらの内陸部は中国政府が農業、経済開発に力を入れているところより、特に内蒙古は開発が盛んで、年15~20%の経済成長を遂げており、いたるところで工業、農業開発、工場建設、ビル建築、道路建設が見られた。

今回の訪問では中国光臨事業団副会長の胡徳平・統一戦線部副部長には全行程随行いただき、その熱意に強く打たれた。ここに心から感謝申し上げたい。

また圧巻は北京最後の夜、歓送迎会を人民大会堂で開催いただいたことで、これは

我々が終生忘れえぬ思い出となった。胡徳平副部長、国家林業局・買冶邦局長、統一戦線部・戚建美副局長、柴田理事長他の関係者のご配慮に団員を代表し深謝したい。

  1.  団員の山口喜久子さんはじめ山田多佳子さん、小佐野貞子さんが和服姿で二度にわたり日本文化の精髄、茶道を紹介されたことは日中文化交流の上でも有益で、そのご努力に対して、謝意を表したい。

43人の個性豊かな団員各位が道中、事故も無く全員無事帰国できたことは副団長および団員各位のご協力の賜物で、あわせお礼を申し上げたい。

ただ一部団員のなかに集団で決めたことを履行されない方がいたり、会食中に商談に熱心なあまり、中国側参加者が食事を取れない場面が多々あり、これは国際マナー上も今後注意すべきであろう。従い、食事の前か後に20~30分の時間を取り、この時間帯で自社の宣伝や商談をするような配慮が必要と思われる。

  1. 砂漠緑化の内容についてはご専門の武蔵工業大の吉崎真司教授はじめご専門の方に一任するとして、元商社マンとしての私の今後の戦略提言は下記の通りである。
  1. 時間と資質、財務能力が限定されているところより、まず短期、中期、重点プロジェクトを選定すること。すなはち選択と集中が肝心である。

その一つとして、趙社長が力を注いでおられる扶貧地区の砂漠緑化プロジェクト支援に全力を注ぐ。有機野菜栽培、アンゴラウサギの飼育拡大、毛皮の輸出促進、環境にやさしいなめし技術の日本からの移転。風力、太陽光発電技術の提供などによる、食料、エネルギーの自給に協力することも肝要であろう。アンゴラウサギについては毛、肉、皮革産業の振興を支援する。

特になめし皮の排水処理については日本の先端技術の供与が必要で、これらについては日本のODA資金活用を考えるべきだろう。私が長年、委員長をしている日本皮革産業連合会審議委員会(参加企業6000社)と協力し、皮革製品、もしくは半製品のアウトソーシング、オフショアソーシングを検討することも提案したい。

日本の先進的な養豚技術の紹介も検討の価値があると思われる。さらに漢方薬草の活用については日本の製薬会社と協力することを提案したい。

2)今回訪問した、石炭を原料とする年産100万トンのPVC(塩化ビニール)工場は、電力源として石炭火力発電所の建設も併行して建設中であるが、これらの工場と発電所の脱硫技術を日本から導入し、環境保全を図ることが肝要と思われる。

また石炭液化計画もあり、この分野でも日本の技術協力を検討すべきと思う。

3)扶貧村訪問時,黄砂の影響と思われるが、目の悪い子供が何人か見られた。手元にあった使い残しの目薬を母親に渡したところたいへん喜ばれた。

医療ボランテイアーとして眼科医の派遣、目薬、マスク、グーグル提供なども考えたらどうだろう。同地域の教育支援として教師の派遣、ノート、筆記用具、古本、古着の提供などボランテイア活動も望ましい。

この地域への協力については今回ミッションに参加された43人それぞれで協力できる分野が多いと思われる。各人が自分で出来ることを考え、草の根で協力し、できれば1年に1回、上記の物品提供などをご配慮願えれば幸甚です。

4)ポプラの木は製紙原料への活用を検討すべきと思われる。ブラジルで王子製紙をはじめとする日本の製紙業、商社がポプラの木を活用した製紙パルプ工場―セ二ブラを設立し、1970年代から日本への輸入を行なっているケースも参考にすべきだろう。一方趙社長のカシミヤ工場を最大限に活用し、日本からデザイン支援を行い、サブコントラクター、アウトソーシング工場の一つとして活用し、対日、対欧米むけ輸出基地として育成することが望まれる。

5. イギリスの理想的社会主義者のロバートオーエンは米国のインデイア

ナ州に「理想の村―ユートピア」を、わが国の武者小路実篤は宮崎に「新しき村」を建設し、「自分も生き、他人も生き、全部も生きる世界」をモットーに開拓に努力した。われわれは内蒙古の扶貧村にこのような哲学で「日中友好の村」を建設すべく努力したいものだ。そしてこの村を日本と中国の「21世紀の新しき時代の友好村」のモデルにしたいと思う。

  1.  奇しくもわれわれが内蒙古に滞在中の3月30日に日本政府は久しぶりに中国雲南省、四川省、 吉林省、内蒙古の7つの環境プロジェクトに総額600億円(年利0.75-1.5%、期間20-30年)の円借款の供与を決定した。幸先の良い朗報である。この機にわれわれミッションのプロジェクトが1件でも実現できることを心から期待したい。

日本は1990年代から長年、日中友好環境保全センター(中国名;中日友好環境保護中心)を中国の国家環境保護総局(SEPA)の下部機構として北京に設置している。JICAは技術協力プロジェクトへの支援としてこれまで105億円の対中無償供与を行なっている。われわれの内蒙古砂漠緑化・黄砂防止プロジェクトにもJICAの支援を受けることを検討すべきと思われる。

幸い、先の温家宝首相の訪日で日中互恵関係の強化がうたわれ、エネルギー、環境、農業、金融などの分野で協力が進展する見込みである。とくに目玉は環境面の協力強化である。われわれの内蒙古砂漠緑化プロジェクトに追い風が吹いている。今後とも団員各位のご協力を切望したい。

  1.  今回の訪中には柴田理事長はじめ団員各位、さらに難しい通訳に力を注いでいただいた毛Yさん、中国側では胡徳平副部長、林野庁・楊継平局長、東達蒙古王集団・趙社長、および同社関係者、内蒙古政府関係者など多くの方に御世話になった。いちいち名前は省略するが、ご協力いただいた日中関係各位に深甚の謝意を申し上げ、団長としての報告にかえさせていただきます。 謝 謝 !